こんばんは。ど~でんです。今回は渋谷系(音楽)についての記事になります。
皆さんご存知、渋谷系という言葉について私はこれまで渋谷系という「音楽ジャンル」として受け入れてきましたが、どうやらそれは音楽をよく知っている人から言うとまずい表現だそうです。何回かその理由について調べようと思いましたが、思っているより知識が必要で、理解するのは大変そうだということであまり深く調べずにいましたが、個人的に渋谷系に対する愛が再燃してきたということもあり渋谷系というのは何なのかということを調べることにしました。
私自身、小学生の頃からピアノを弾いて、月に一回好きな音楽についてのブログ記事を更新している程度で、特別に音楽活動をしているような人間ではありません。さらに渋谷系という言葉が生まれた当時(90年代半ば)は生まれてもいません。ですから、以下の渋谷系についての説明はネット記事や本で目にしたものを自分なりに解釈しなおしているだけですので、誤った表現等あるかもしれません。逆に言えば、渋谷系を経験していない世代による渋谷系の見え方というものを記していることになっていると感じています。ぜひ、あたたかい目で読んでいただければと思います。
昨年、渋谷系の音楽を調べてみたという記事を書きましたが、このときは時代背景やその成り立ちに目がいかず、手当たり次第に音楽を貼り付けていましたが、それなりに充実した紹介曲数になっていると思います。下の記事はオリジナルから一部加筆、修正をしていますので昔一回読んだことある方もぜひ。
- 渋谷系の誕生(1990~)
- 渋谷系に影響を与えた音楽とされているものを聴いてみる
- 渋谷系からネオ渋谷系へ(2000~)
- ネオ渋谷系の音楽を聴いてみる
- ネオ渋谷系について思うこと
- 時代はさらに進み、「アキシブ系」へ(00年代中盤~)
- 渋谷系第三世代の出現(2010年代中盤~)
- 私にとっての渋谷系、渋谷系について思うこと
渋谷系の誕生(1990~)
まず、渋谷系という言葉がどこで生まれた言葉なのかということについて確認します。時代は1980年代末にさかのぼります。渋谷のレコード屋にはあらゆるマイナーなジャンルの音楽が集まりはじめ、音楽愛好家がそういった音楽に触れる機会が増えてきました。
こういった時代背景により、外資系CDショップが集まる渋谷の地で様々な音楽の影響を受けたアーティストが生まれ、ジャンルをクロスオーバーした音楽を作るようになりました。こういった様々な影響を受けた文化・ムーヴメントを渋谷系と呼ぶということになります。
○○系という名付けは、1990年代のバンドは「○○系」(イカ天系*1、ビーイング系*2、ヴィジュアル系*3)などと分類されて呼ばれることが多かったためという歴史的な流れがあります。
渋谷系という言葉が使われだしたのは、90年代半ばのようです。渋谷系に含まれるアーティストとして、ピチカート・ファイヴ(小西康陽・野宮真貴)、ORIGINAL LOVE(田島貴男)、フリッパーズ・ギター(小山田圭吾・小沢健二)、bridge(カジヒデキ)が挙げられます。*4
では、これらのアーティストの音楽を聴いてみることにします。
bridge
いかがでしょうか、多様な音楽という感じを受けた方が多いかなと思います。
ここで渋谷系が音楽ジャンルなのかということについて考えます。
まず、音楽ジャンルには共通点というものがあります。例を挙げると、ディスコには「音量の大きい反響するボーカル、4つ打ちで一定のリズムを刻むキック、8分音符ないし16分音符刻みかつ拍の間でオープンするハイハットパターン、そして突出したシンコペーションを持ち、時にはオクターブでなるエレキベースのベースラインの上で演奏される。」のようなしっかりとした特徴があります。
しかし、上に挙げた渋谷系とされる音楽をこのようにひとくくりにするのは難しいのではないでしょうか。
強いて言うとすれば、いとうせいこう氏の発言から引用すると「渋谷系の共通点については、「オシャレ」、「力まない歌声」、「メインストリームとの絶妙な距離感」」ということができますが、これを一つの音楽ジャンルとしてとらえるのは無理がありそうです。
つまり、渋谷系というのは明らかな音楽的な特徴で関連付けてアーティストをグループ化したわけではなく、90年代に新しい音楽を追求した音楽文化・ムーヴメントと定めるのが適切であると考えます。
そしてその考え方の根底に共通していることといえば、既存の音楽の魅力の再発見にあると言われています。次の章で渋谷系音楽の素となった音楽を聴いてみます。
渋谷系に影響を与えた音楽とされているものを聴いてみる
次に渋谷系と呼ばれるアーティストに影響を与えた音楽として紹介されているジャンルやアーティストを紹介します。
・ネオアコ
・フレンチポップ
・ポストパンク
・ブルーアイドソウル
・ナイアガラ系
・スウェディッシュポップ
・ハウスミュージック
・フィル・スペクター(Wall Of Sound)
・Roger Nichols & The Small Circle Of Friends
これらは渋谷系アーティストが影響を受けた音楽のほんの一部ですが、 渋谷系アーティストは音楽ジャンルに制限はなく、多種多様な音楽からの引用が主体となっています。音楽を引用するには、たくさんの音楽を聴かないといけません。つまり、これらのアーティストは日本ではあまり評価されていない音楽の価値を見出し、その良さを自身の音楽を通じて発信するような音楽オタクであると言うこともできると思います。
渋谷系からネオ渋谷系へ(2000~)
相次いで渋谷系とグルーピングされたアーティストが解散し、2000年頃、渋谷系シーンは消滅します。これは、そもそも渋谷系自体が音楽ジャンルではなく、新しい音楽の模索からきていることであるため、渋谷系とくくる必要がなくなったからではないかと思います。
また、グループとして解散はしますが、この時代で活躍したミュージシャンは後のネオ渋谷系、アキシブ系にも関わってきますし、形を変えて活躍しているパターンが多く、後の日本の音楽に多大な影響を及ぼします。
これで渋谷系は終わりか…と思いきや、渋谷系に属していたアーティストの影響を受けたアーティストが出現します。こういったアーティストはネオ渋谷系、ポスト渋谷系という呼び方をします。これに当てはまるアーティストが、
tetrapletrap、orangenoise shortcut、Plus-Tech Squeeze Box、capsule、YMCK、クノシンジ、アナ、□□□、Frasco、エイプリルズ、Hazel Nuts Chocolate、Strawberry Machine、なっちゃんPEAK、COPTER4016882、Soda fountains、naivepop or petitfool、miette-one・・・(wikiのページからまるまるコピーしました)。
これなんでcymbalsとROUND TABLEがないのでしょうか。まあ、wikiだし編集者の好みが表れているんだろうか。
確認のためにcymbalsのページに飛ぶと、ポスト渋谷系というくくりがされているんですが、ポスト渋谷系という言葉がどこから来たのかよくわかりません。ですので、この記事ではネオ渋谷系=ポスト渋谷系とし、ネオ渋谷系というワードのほうがよくつかわれている気がするため、この記事では渋谷系の音楽の影響を受けた00年頃から活動するアーティスト群をネオ渋谷系として扱います。
では、ネオ渋谷系にジャンル分けされるアーティストはどのような音楽を作っていたのでしょうか。次の章でネオ渋谷系アーティストの作品を聴いていきます。
ネオ渋谷系の音楽を聴いてみる
□□□
この記事を読んでくださっている方は結構ご存知の方も多いとは思いますが、渋谷系っぽさはこのあたりから感じるという方も多いと思います。
とにかくフリッパーズ・ギターと、ピチカート・ファイヴの影響を受けたものが多いと思います。これは、2つのアーティストの音楽の幅の広さに起因しているように思いますし、オマージュする気持ちもすごくわかります。特有のおしゃれ感、J-POPほどすべての人間が知っているような音楽でなく、メインストリームとの一定の距離間があり、知る人ぞ知る感があってたくさんの音楽好きのアーティストが影響を受けたのも頷けます。
次は渋谷系という言葉の誤解について、自分の見解を述べていこうと思います。
ネオ渋谷系について思うこと
冒頭でも述べましたが、渋谷系という言葉を音楽ジャンルとして呼んでしまうことに疑問を抱いている方がいるようです。これは、上に挙げたこれらの楽曲たちをネオ渋谷系と呼んでしまったことが原因の一つだと考えます。
渋谷系の音楽は音楽の特徴として明確な共通点がありませんでしたが、ネオ渋谷系であげた音楽は「フリッパーズギターやブリッジが作ってきたようなギターポップ由来の音楽」と「ピチカート・ファイヴから影響を受けたハウス由来の音楽」がほとんどを占めているように思えます。00年代のギターポップやハウスミュージックが数年前に流行った渋谷系を想起させるようなものであったため、これらの音楽を渋谷系やネオ渋谷系と呼びだしたのではないかと思います。
そういった「音楽ジャンル」をネオ渋谷系と呼んだことによって、「90年代に新しい音楽を追求した音楽文化・ムーヴメント」としての渋谷系もいつのまにか「音楽ジャンル」として理解されるようになったのだと思います。
これが後のアキシブ系にも伝播していき、ちょうど渋谷系を経験していない世代も出てくることで、ギターポップやハウスミュージック系の音楽を渋谷系と呼ぶ人がどんどん増えるようになったと考えます。
渋谷系 = 90年代に新しい音楽を追求した音楽文化・ムーヴメント
であると考えています。ここに書いていることはあくまでも推測の域を脱さないことにご注意ください。私はそう感じるというだけです。
しかし、現在もギターポップ、ハウス、ボサノヴァ系の音楽を渋谷系と呼んでいる人が絶えません。便利だし。私もその一人です。
言葉を知らないからそう表さざるを得ないという側面はあると思いますし、言葉というものは変わっていくものですから、渋谷系という言葉を音楽ジャンルっぽく使用するのも仕方がないのかなと思います。
また、ネオ渋谷系に属する音楽が渋谷系音楽をただ真似ているというわけではないと思います。
Plus-Tech Squeeze BoxやYMCKのようなエレクトロサウンドとの融合は素晴らしいし、他のアーティストもあらゆる方法で音楽の可能性を模索しており、そういう面では原義の渋谷系ミュージシャンの音楽に対する貪欲な姿勢と似たようなものがあると思うし、そのように似てる点があるからさらに「渋谷系」や「ネオ渋谷系」の言葉の扱いが混同してしまうことになったと推測します。
あと、渋谷系を意識していないのにネオ渋谷系と呼ばれているアーティストもいるかもしれないなと思います。00年代にギターポップ、ハウス、ボサノヴァ系統の音楽をやっていたら結構ネオ渋谷系と呼ばれているかもしれません。
時代はさらに進み、「アキシブ系」へ(00年代中盤~)
次はネオ渋谷系の音楽がアキバ文化(アニメ、ゲーム、アイドル)と融合し、「アキシブ系」へと展開していきます。
アニメ業界のレーベル、フライングドッグの音楽プロデューサーである福田正夫氏により、アニメ音楽にネオ渋谷系のミュージシャンである北川勝利氏を迎え入れたことが始まりであるとされます。
では、アキシブ系の代表曲を挙げます。
Let Me Be With You / ROUND TABLE featuring Nino
作詞・作曲:北川勝利
編曲:ROUND TABLE・宮川弾
2002年春クール。ちょびっツOP。
人間だから / 大村裕美(CV:豊口めぐみ)
作詞:こなかりゆ
作曲:F.GIRAUD
編曲:冨田恵一
ね~え? / 松浦亜弥
作詞・作曲:つんく
編曲:小西康陽
小西康陽は90年代からずっと最前線。
Groovin' Magic / ROUND TABLE featuring Nino
作詞・作曲:伊藤利恵子
編曲:ROUND TABLE・桜井康史・宮川弾
2004年。
Pressentiment triste / marianne Amplifier feat. yuka
作詞・作曲・編曲:橋本由香利
仏語詞訳:yuka
2004年秋クール。月詠ED。
橋本由香利さんは、marigold leafというグループのメンバーだった。ネオ渋谷系に分類されるが、ご本人は渋谷系という言葉も知らなかったし、フリッパーズギターも聴いたことがなかったらしい。
パズル / ROUND TABLE featuring Nino
作詞:伊藤利恵子
作曲:北川勝利
編曲:ROUND TABLE・河野伸
2006年夏クール。
作詞:坂本真綾
作曲・編曲:北川勝利
ストリングアレンジ:河野伸
2009年秋クール。
ドラマチックマーケットライド / 北白川たまこ(CV:洲崎綾)
作詞:藤本功一
作曲:片岡知子
編曲:宮川弾
2013冬クール。
恋とキングコング / 日向美ビタースイーツ♪
作詞・作曲・編曲:ササキトモコ
ひなビタ♪より。
ここまで紹介してお分かりになったとは思いますが、アーティストという形でなく、アニメに付随した音楽が基本となっています。ここで活躍しているのが、北川勝利氏です。先ほどネオ渋谷系で紹介したROUND TABLEですが、ROUND TABLE featuring Ninoという形でアニメ音楽に携わっており、コンポーザーとして活躍するのが北川氏となります。
そして、2010年頃から徐々にアニメ用の音楽だけでなく、声優アーティストへの楽曲提供も行うようになり、アキシブ系音楽が増え始めます。
Get No Satisfaction! / 坂本真綾
作詞:坂本真綾
作曲:北川勝利(from ROUND TABLE)
編曲:河野伸
坂本真綾の活動初期は菅野よう子プロデュースが主体だったが、2005年から事務所を移籍し、h-wonder、鈴木祥子、北川勝利などの作編曲が増えます。2007年からはアニメ関連に特化した新レーベル「FlyingDog」が設立。同レーベルを代表するアーティストとして活躍します。アキシブ系において、FlyingDogの担った役割というものは大きく、美しく幻想的な音楽はFlyingDogに共通してあるものかなと感じます。
作詞:meg rock
花澤香菜は2012年に「星空☆ディスティネーション」でアーティストデビュー。北川勝利、宮川弾、長谷泰宏、桜井康史、中塚武、神前暁(MONACA)、ミト(クラムボン)など、2010年頃のアキシブ系を支えるあらゆるクリエイターの曲を歌います。
恋愛サーキュレーションは声優特有のかわいらしいウィスパーボイスとラップがアキシブ系らしい音楽の発展がみられます。
2021年になり、再び北川勝利さんとタッグを組み、新曲をリリースされており、今後の展開が非常に注目されます。
Sinfonia! Sinfonia!!! / 竹達彩奈
作詞・作曲:沖井礼二
編曲:New Old Stock(沖井礼二・小林俊太郎)
沖井礼二、小林俊太郎の2人が中心となり楽曲を制作しています。竹達彩奈さんは現在も精力的にアーティスト活動をされていますが、渋谷系の方面とは少し離れています。
ハニーアンドループス / 豊崎愛生
作詞:仁科亜弓
作曲・編曲:古川貴浩
2011年発売の「love your life, love my life」というアルバムにアキシブ系楽曲が含まれています。おしゃれポップな路線の楽曲が多く、アキシブ系には含まれない曲も多数あるものの、オススメです。
ここから下はアイドルやアーティストを紹介します。
Dear Mr.Socrates / Twinklestars
作詞・作曲・編曲:沖井礼二
さくら学院のユニット、Twinklestarsから。2010,2011年に全3曲を沖井礼二さんが提供。
矢野博康(元cymbals)、土岐麻子(元cymbals)、宮川弾(元ラヴ・タンバリンズ)などが楽曲制作に参加しています。
アイドルばかり聴かないで / Negicco
作詞・作曲・編曲:小西康陽
矢野博康(元cymbals)、土岐麻子(元cymbals)、小西康陽、北川勝利などが楽曲に参加しています。
黄昏のダイアリー / RYUTist
作詞:清浦夏実
作曲・編曲:北川勝利・沖井礼二
沖井礼二(元cymbals)、北川勝利などが楽曲制作をしています。また、佐藤望やシンリズムといった次世代の渋谷系音楽に影響を受けたクリエイターの参加楽曲も多いです。
以上の音楽はある程度の共通点があります。それは、これまでに紹介したネオ渋谷系に関わるコンポーザーによる音楽であるということです。北川勝利、沖井礼二、宮川弾など。その他の作曲家も調べるとネオ渋谷系として活躍した人物がほとんどです。
つまり、00年代から10年代のアキシブ系の多くは、ネオ渋谷系のミュージシャンの活動の幅が広がったことと大きくつながりがあります。
渋谷系第三世代の出現(2010年代中盤~)
さらに時代の流れとともに、ネオ渋谷系の音楽に影響をうけたミュージシャン(1990年前後)が楽曲制作を行い、アキシブ系に進出してきました。これを渋谷系第三世代と呼ぶこととします。
完全にcymbals「Highway Star, Speed Star」のオマージュ。
Morning Coffee。北川勝利系のストリングスが効いた爽やかでオシャレな編曲。
山本真央樹
小西康陽や北川勝利系。
小西康陽系。
やぎぬまかな
沖井系?ちょっとわけるのは難しいけど、これをアキシブ系って認める人は多いかなと思う。沖井さんと親交の深いPOLLYANNAで活躍するワタナベタカシさんやqurosawaさんが参加していることも多く、沖井さんの影響は少なからずありそうです。
辻林美穂
北川系。やぎぬまさんと辻林さんはバンめし♪に曲を書いており、ひなビタやバンめしにはこの系統の音楽が多いため、アキシブ系好きはオススメ。
POLLYANNA
沖井礼二さんとの関わりも深い。
ゆいにしお
紹介文に渋谷系という文字があるくらいには渋谷系を意識した音楽をしている。
これらのミュージシャンは、第一次渋谷系やそれ以降の時代に生まれた方で、アキシブ系前期のミュージシャンにはない新しい感性によって音楽を作っていると感じます。アキバの萌え要素が詰まりながらも、サウンドやメロディの根底にこれまでの渋谷系アーティストの影響がみられ、新たな世界が生まれているように思えます。
特にアニソン文化というものは年々大きくなり続け、多様な楽曲が発表され続けており、私はその文化をきっかけに渋谷系という単語を知ったくらいなのですから、渋谷系という単語が多くのアニメ兼音楽ファンの注目を集めることになったのは、これらの音楽家なしではなかったことであると考えます。
これらをアキシブ系と呼ぶことでどんどん渋谷系が拡大解釈されるようになっているのではないかと思います。
私にとっての渋谷系、渋谷系について思うこと
最後に私と渋谷系の出合いとそこから自分の人生にどういう影響を与えたかというところを話そうと思います(ここで自分語りがしたかった)。ここまでは渋谷系についての調べた結果が中心でしたが、ここからは私が感じることと思うことを中心に書いていきます。
私が初めて渋谷系という言葉に出会ったのは、2018年です。ちょうどアニメソングにハマり、作曲家について知りたいという気持ちがどんどん大きくなってきた時期でした。そこで田中秀和さんという作曲家に出会います。私の人生において大きな影響を与える作曲家です。
彼が作る音楽の中に渋谷系というジャンルに当てはまるものがあるということをTwitterなどで知りました。渋谷系をはじめて意識して聴いたのは、グッドラック ライラックだったかな。当時は楽器などのサウンド面についての知識はゼロで全然その特徴がわからず、その時点の自分の中の渋谷系は重要性を含んでいませんでした。
しかし、音楽好きのフォロワーさんと親交を深めていくうちに、自分も音楽についてもっともっと知りたいという気持ちが強くなり、いろいろと調べ始めます。これが2019年の年始でした。そこでcymbalsを知り、田中秀和さん作曲の「The Girls Etiquitte」とすごく似ていることに驚き、渋谷系について調べ始めるきっかけになりました。
それでできたのが、冒頭でも紹介した記事、「渋谷系の音楽を調べてみた」でした。
このときは渋谷系は時代とともに段階に分かれていることを知らず、奥行きがなく平面的にとらえていました。とりあえず、渋谷系っぽい音があり、それにはどんな人が関わっているのかということを明らかにしたいという気持ちがありました。しかし、調べているうちに渋谷系という言葉は厄介で取り扱い注意である単語であることがわかり、記事を出すのに勇気が要りました(この記事もまさに全世界に公開するか迷っています)。
2019年から2020年は自分の中ではいろんな音楽を聴いた期間でした。それまでは好きなアーティストの曲しか聴いていませんでしたが、音楽好きのフォロワーさんに影響を受けていろんな音楽を聴いて、知っておきたいという気持ちが大きくなりました。
そして、2021年になり、自分の中で音楽の知識がある程度たまってきて、その知識たちが自分の中にあるだけではもったいないという気持ちと、人に見せることで自分の頭の中の整理もできると思い、渋谷系について調べるに至りました。
調べていて思ったことがいくつかあります。
・音楽は時代と密接にかかわっている
歴史や文化については勉強したことのない初心者からの視点ですので、読んでくださっている方にとっては当たり前であると感じられるかもしれませんが、調べていてすごく印象的な発見でした。
音楽は時代と密接にかかわっているからこそ、サウンドという表面的な観点だけでなく、歴史的な背景まで調べないと音楽ジャンルや文化の全体像はつかめないと感じさせられました。
・渋谷系は繰り返される?
渋谷系は先でも述べた通り、既存の音楽に価値を見出し今の時代の観点からその再構築を行うという音楽的手法も含んでいるというように思います。
これって文化の流行フェーズの一部分じゃないかなと思います。流行りものって、飽きが来て、それに代わる何かが流行して、時間が経って昔売れてたものが再ブレイクみたいなことって結構あるじゃないですか。渋谷系はリバイバル文化のような文化的の流転の一部であるような気がします。だからこそ、今後も渋谷系的なムーヴメントは繰り返されるのではないかと予想しています。それが渋谷系音楽に近ければ、○○渋谷系みたいに名付けられることだと思います。
・過去の作品から価値を見出すことについて
渋谷系の根底には過去も現在も一緒くたにして、良いと感じるものは良いと判断する姿勢があります。
この姿勢についてすごく憧れを抱きました。これは音楽に限らず他のことに関しても過去から学ぶ姿勢というのは大事だなと常日頃感じていて、渋谷系について調べているうちにそんなことともリンクするなんて思ってもいなかったです。意外なところに発見があり、その発見がきっかけに物事が進むってことはたくさんあるんじゃないかと思います。渋谷系の歴史を知ることで、自分の人生に活かしていきたいです。
私の敬愛する作曲家である田中秀和さんは様々なジャンルの音楽の影響を受けた音楽を作っています。cymbalsやthe band apart、Antonio Loureiroなどのアーティストから影響を受けながらも、アニソンというフィールドで独自のポップ感覚を織り交ぜつつ新しい音楽を作り出すのは、一番渋谷系してる作曲家なのではないかと感じます。秀和さんの好きな音楽についてのお話がきける機会が欲しいです。
田中秀和さんについての記事はべつに挙げています。
・渋谷系と感じるポイントまとめ
渋谷系音楽を感じる要素を書き出してみました。それらを北川系、沖井系、ピチカート系、ササキトモコ系に分けます。これについては、画像を用意したのでそちらをご覧ください。
この分け方は私が考えた分け方ですので、音楽の感じ方には人それぞれのものがあるためしっくりこない方もいるとは思いますが、一つの音楽を聴くときの基準ということで受け取ってもらえるといいかなと思います。
また、4つに大分しましたが、それぞれの要素を併せ持った曲もたくさんあります。私がアキシブ系だと感じた曲については以下のプレイリストにいれています。ぜひ聴いてみてください。
また、渋谷系、ネオ渋谷系、アキシブ系の音楽について広く拾ったプレイリストも貼っておきます。
*1:イカ天系…1989年2月から1990年12月までTBS系列で放送された「三宅裕司のいかすバンド天国」でメジャーデビューしたバンド。アマチュアバンドが演奏を披露し、審査員がジャッジし、勝者を決めるというものでした。FLYING KIDS、BEGINなどが含まれる。
*2:ビーイング系…音楽制作会社・レコード会社である「ビーイング」に所属したミュージシャン。オーディションで発掘したボーカリストを主体に、完全にプロデューサー主導で結成されたバンドがほとんどであるという点が特徴的だった。ZARD、WANDS、B'z、T-BOLANなどが含まれる。
*3:ヴィジュアル系…特定のサウンドを示す言葉ではなく、化粧やファッション等の視覚表現により世界観や様式美を構築するものとされているが、こちらも渋谷系同様、議論がありそうな感じです。パンク・ロック、ヘヴィ・メタルと関連があるようです。X-JAPAN、BUCK-TICK、LUNA SEAなどが含まれる。