2020年楽曲10選
2020年も年の瀬を迎えました。
今年もたくさんの曲に出会いました。音楽制作にかかわったすべての方々に感謝の気持ちを表します。今年もありがとうございました。来年も素晴らしい音楽が世の中に広がるよう、応援しています。今年は、世界的に流行したウイルスにより、在宅の時間が長くなり、音楽を聴く時間が増えたのではないかと思います。音楽の重要性について考えさせられる一年でした。
10選記事は、私は昨年から書かせていただいているのですが、なんかもう何年もやってきたような気分で、年々執筆する方も増えてきているように思います。とても良い世界だなと思います。
セレクションの方法を確認します。個人的にこの手続きがどうなのかによって、かなり選ばれる曲が違ってくるのではないかと思うので、この記事ではその内容と根拠を明確に記します。
昨年は、こんな選び方でした。
①2019年に発表、発売されたもの
②制作の背景やアーティストで決めるのではなく、できるだけ曲のみで判断する。
③WUG楽曲はなし。
→僕自身が②を守れないため。
④来年もずっと聴いているであろう曲をチョイス。
ということで、今年も「だいたい」このレギュレーションで行きたいと思います。
しかし、ちょっと内容や文言を変更します。
まず、③をなくし(WUGの新曲はなかったため)、その他の番号も少し言葉を変えます。
①2020年にフルバージョンがリリースされたもの
②できる限り曲の背景や文脈を意識せず、曲そのものの良さを感じ取って選ぶ。
③来年もずっと聴いているであろう曲をチョイス。
これでいきます。
②はできる限りという形でそこまで厳密な意味はないです。選んだ時の気分としてそういう気持ちで選んだということです。
曲によって思い入れの違いがどうしても出てきてしまうため、完全に曲オンリーの良さで選びきるのは不可能だと考えています。
③は昨年通りです。今の自分は、何度も聴きたくなるような曲が良い曲の最大の条件であり、選ばれるにふさわしいと思っています。これについてもいろいろな見方があると思いますが。
それではプレイリストを貼ります。曲順は繋がりをなんとなく意識しています。
罰と罰 / 鹿乃
作詞:鹿乃
編曲:佐高陵平(Hifumi,inc.)
Sound Coordinator:みすみゆり(MONACA)
Mix Engineer:石塚陽大(Hifumi, inc.)
All Instruments & Programming:佐高陵平(Hifumi,inc.)
発売日:2020年3月4日
収録CD:4th AL「yuanfen」
イントロの一音目の瞬間から、聴いた者を世界に引きずり込む引力がとんでもなく大きいです。まるでネオジム磁石のようです。
楽器の音をカットアップしたような、あらゆる無機質な音と重いピアノの相性が抜群。さらに憑依したような鹿乃さんの歌唱が相まってすべての音の絡み合いで世界が成立しています。
ボーカル部分にさらに注目すると、ウィスパーボイスでハモリが入れてあり、この部分はかなりこだわりを感じます。ウィスパー部分だけ切り取って聴きたいです。
2C後の間奏部分から、小さく空間が歪んでいくようなゆらゆらした音が入っている部分が個人的に好きで、こういった細やかな音作りが私も気付いていないところで行われているのだろうと思います。
最初から最後まで無駄がなく、通り過ぎ去っていくように終わる疾走感も感じられる、名曲だと思います。
Sparkle / iri
作詞:iri
作曲:iri・Kan Sano
発売日:2020年3月25日
収録CD:『Sparkle』
楽器の演奏とアレンジはKan Sanoさん。正しいクレジットが見つからなかったので、ここに紹介しました。Kan Sanoさんも何回か私のブログで紹介したことがありますが、さすがの音楽センスです。
「おい、ど~でんよ、選ぶのはアニソンだけちゃうんか」というツッコミが来そうですが、そうです。それなりにアニソン以外も聴いてますので、私が聴いている曲ジャンル関係なくひっくるめて紹介します。アニソン以外のジャンルは対して深く聴けていませんが。。深さなんて関係ないんや、好きと思う気持ちだけでいいんです。
アーティストのiriさんはこのジャケットに写っている女性で、声だけを聴くと男性に思えますが、歌っているのはこのジャケットの方なんです。
とにかく、サビのメロディライン、リズムが美しすぎます。
「弾けて空にばらまいて 風に運ばれたくらいで泣かないって」
の部分は、拍に正しく乗っており、メロディラインも落ち着いています。
しかし、
「なんてそんな風に泣いて歩いた夜もまだ 懐かしむようにdrive」
の部分から、2つの音を行ったり来たり+シンコペーションのダブルパンチ。さらに、後半の部分で、伴奏部分もリズムが壊れる。歌詞の内容ともリンクした心の揺れのようなものを感じます。美しい対比構造。緩急の妙。
もうかっこよすぎますよね。ここだけで何倍でもメシがいける。
Mela! / 緑黄色社会
作詞:長屋晴子・小林壱誓
作曲:peppe・穴見真吾
配信開始日:2020年4月22日
収録CD:2020年9月30日
ピアノ、ブラスセクション、スキャットが一番活躍している曲ではないでしょうか。
lalala lalalaのスキャット部分が特に印象的なので、使われている場所を確認してみましょう。
まず、頭サビから1Aの間、続いて、1Bできました。で、1Cの後でくるんだろうな~と思いきや、Dパートの後に来ました??????!この曲どうなってるの?????
ちょっとよくわからなくなってきたので、楽曲構成についても調べます。1番サビが終わると、2Aにいくのではなく、これまでとは違う状態(D)へと移ります。そこから2Bに移ります。次に2Cにいくのではなく、大間奏パートに入り、次にさらに違う場面(E)に転換します。そして、落ちサビに向かい、ラスサビへと向かいます。
intro(頭サビ)→inter(lalala)→A→B(lalala)→C→inter→D→B'(lalala)→inter→E→落ちサビ→ラスサビ→outro
すごくキャッチーなメロディで、いろんな楽器たちがわいわいしていて、良い子のみんな、集まれ~~~~みたいな感じなのに、楽曲構成はなかなかに変則型です。この楽曲構成については、あんまり意識して聴いておらず、この10選を書き始める時点であれ?となってやっと気づきました。無意識下でこの複雑な楽曲構成のおもしろさが私を引き付けていたのでしょうか。
Well Wishing Word / 水瀬いのり
作詞・作曲・編曲:栁舘周平
All Vocal & Chorus:水瀬いのり
Drums:山内"masshoi"優
Guitar:奈良悠樹(F.M.F)
Piano:岸田勇気
Strings:吉田宇宙ストリングス
Flute & Piccolo:高木美里
Oboe:大久保茉美
Tambourine:新田目翔
Bass, All Other Instruments & Programming:栁舘周平(F.M.F)
Recording & Mixing Engineer:上條直之(F.M.F)
Recording Studio:SoundCity 世田谷Studio
Recording & Mixing Studio:Sound Inn Studio
Sound Coordinator:谷原亮(F.M.F)
発売日:2020/02/03
収録CD:8th SG「ココロソマリ」
もうこの曲については、上半期10選候補曲でも紹介した通りですが、今聴いて改めて。
フルートやピッコロなど終始楽しい楽器が曲の色を付けるのですが、メロディや歌詞が寂しく、聴いた後の爽快感と同時に少し悲しい余韻がやってきます。
ここでもサビについて注目してみます。サビ頭の「バイバイ!バイバイ!」のような半音の行き来はぼくの性癖で、完璧だし、その後の「お別れの向こう側で」の「がわで」も最高。そして、2つ目の「バイバイ!バイバイ!」は全音のバイバイなんですよね~!憎いです!!!
1回目のバイバイは不安なバイバイ、2回目のバイバイは決心したようなバイバイのようにも聴こえます。もうこれについて考えてるだけで、泣けてきました。
もなかのクッキングソング / Blanc Bunny Bandit
作詞・作曲・編曲:やぎぬまかな
ギター:qurosawa
ベース:大澤伸広
鍵盤:飯島快雪
ドラム:ワタナベタカシ
配信開始日:2020年1月29日
収録CD:「もなかのクッキングソング」
今年は、バンめし♪からはたくさんの新曲がリリースされましたが、今年頭にリリースされたもなかのクッキングソングが一番私好みでした。
ボーカルは百武もなか(CV:田中貴子)。舌足らずな歌い方とやぎぬまかなさんのお得意のサウンドの相性が良い!!
POLLYANNAや侍文化というバンドのメンバーが演奏を担当しています。どちらも良い音を鳴らすバンドです。
なんというか、この曲は聴きたい曲がなかったときにとりあえず聴いておけば間違いないという感じで、生活に寄り添ってくれました。クッキングソングということで調理工程通りに効果音が散りばめられており、遊び心が見られる編曲が好きな理由の一つです。
ジャンルとしては、アキシブ系の楽曲に当てはまると思うのですが、私にとってはその中でも一番好きなんじゃないかというくらい楽しめる曲です。
ぐっばいおぶじぇくしょん / AiRBLUE Wind(夜峰美晴(CV:安齋由香里)・神室絢(CV:松田彩希)・宮路まほろ(CV:山口愛)・日名倉莉子(CV:鶴野有紗))
作詞:針原翼・セツコ
作曲:針原翼
編曲:棚橋EDDYテルアキ
発売日:2020年9月16日
収録CD:「NAZO‐NAZE Jumping!」
コード進行がどんどん移り変わっていくアニソンではあまり見られない、決まりきったシンプルなコード進行で構成されており、その分、メロディの展開に注目できるのかなと思います。
アニソンは技巧を凝らしてその独自性を出すということが特徴としてありますが、この曲はそういったこととは真反対でシンプルにメロディやその展開のみで勝負しています。
その潔さがいいのでしょうか。この曲のアルバムのteaser動画で脊髄反射的に「これは10選入るな」と思わせるような名曲のにおいがしました。今(12/29)現在でも10選にランクインされているブログも散見され、やっぱり選ぶよね~ってなりました。
トウメイナユメ / 鬼頭明里
作詞:yuiko
作曲・編曲:藤井健太郎(HANO)
Guitars & All Other Instruments:藤井健太郎(HANO)
Bass:土井達也(HANO)
Keyboards:松坂康司
発売日:2020年10月28日
収録CD:3rd Single「キミのとなりで」
イントロのクリーンなギターでグッと捕まえられました。そして、エレピが積極的に用いられていて、ただのギター曲にはなっていないところがポイントになると思います。
また、Aメロの入りが特徴的でゆっくりとストーリーが始まっていくのではなく、緩急がこの時点で豊富なんですよね。しかもかなり短い。イントロから1番が1:15で終わるくらいには素早く曲が展開していきます。
また、サビの「ねぇ」が本当にねぇと呼びかけられているようで鬼頭明里さんの手腕が
光ります。
後は、ラスサビ後の展開やアウトロの演奏が美しすぎる。気持ちが最後に行くにつれ増大していきます。終始良いんですけど、その良さが時間経過とともに増大していくきれいな流れを感じます。
なんで? / フィロソフィーのダンス
作詞:児玉雨子
作曲・編曲:hisakuni
Guitar:Kyohei Ariga
Bass:河本奏輔
keyboard:宮川純
Trumpet:吉澤達彦
Tenor saxophone:石井裕太
Trombone:榎本裕介
Brass Rec Engineer:渡辺紀明
Mix Engineer:福井昌彦
発売日:2020年9月23日
収録CD:「ドント・ストップ・ザ・ダンス(Deluxe Edition)」
Whyの使い方がまず印象的です。これ日本語のままでも行けたかもしれませんが、英語の方がかっこいいですかね。「Why」か「なんで」かだったら、連続でいう分には、広がりがあって濁点がないWhyの方がふさわしいかもしれません。
あと、サビについて、頭の「もう好きじゃ」の「好きじゃ」の部分1つ1つにコードをあてはめる部分、「ないのにな」の最後の「な」の好きじゃない感が素晴らしい。へそ曲がり感が最高。
そこからの「なんで」連続。から、さらに、「あれだけ見つめた」の怒涛の場面転換には、唸りました。
これまでのフィロソフィーのダンスの楽曲のイメージを引き継ぐような踊れるおしゃれな楽曲ですが、これまでのメインコンポーザーの宮野弦士さんとは違っていておもしろいです。彼女らの個性をもっと引き出せるような化学反応が見られることを楽しみにしています。
いただきバベル / 黒鉄たま (CV:秋奈)
作詞・作曲・編曲:Kenmochi Hidefumi
配信開始日:2020/09/30配信
収録CD:「いただきバベル (Prod. ケンモチヒデフミ)」
今年は電音部が生まれた年でもありました。新進気鋭のトラックメイカーのトラックを声優が歌うという形で、どんどん尖った鋭い曲がリリースされ続けました。
その中でも声優の特徴的な声をうまく使っており、かつ、何度も聴きたくなるような曲だったのが、いただきバベルでした。
ボーカルの秋奈さんはアイカツ!シリーズの冴草きい役などで活躍されており、個人的にかなり好きな声です。甘さとちょっぴりヤンチャな感じがこの曲にぴったりです。
命令口調のギラギラした詞、「飛び跳ねろ」の巻き舌の部分は名演です。
電音部の他の曲でいうと、Mani ManiやFavorite Daysが10選に入れるか迷いましたが、ボーカルの個性がうまく発揮されているのはいただきバベルが一番であると感じ、よく聴いたのでこちらを選ぶことになりました。
コスモスサーチ / わか・るか
作詞:只野菜摘
Guitar:堀崎翔
Bass:鹿島達彦
Strings:室屋光一郎ストリングス
Mixing Engineer:白井康裕
発売日:2020年9月2日
収録CD:Dream Festival
作編曲の帆足圭吾さんの作られる曲はハードなロックや、ストリングスが効果的に用いられた曲まで幅広くありますが、今回はポップさを追求した美しく爽やかな路線でした。
今年、帆足さん作曲の歌ものは、恐らくこの1曲だけですが、その1曲がこういう形で10選ランクインするのは珍しいのではないでしょうか。もっともっと歌ものを書いていただきたいものです。
コスモスサーチは只野菜摘さんの作詞の力も大きいと感じました。
要所に現れるカタカナ言葉や、時間を表す言葉、コスモス(宇宙)という空間を表す言葉。
帆足さんの、曲全体を包み込むストリングス。
時間的、空間的、音的なさまざまな広がりと、少女の心の中の広大な心の宇宙における描写が素晴らしいです。只野先生の言葉の選択は私たちにさまざまな想像をさせます。
OFF VOCALバージョンでは、2番のAメロのリバースピアノや、ピコピコしたサウンドなど、作り込みが緻密なことにも気づくことができるため、必聴です。
今年、一番の曲であると思います。
〇あとがき
楽曲10選は個人的には10曲に絞るという制約がそもそも厳しく、苦悩の中選び抜いた形になっています。
ということで、明日、12月31日、
2020年100選の記事をあげます!!!!!(間に合えば)
こっちはルールなしで、好きなものをできる限り紹介し尽くします。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。